岡田斗司夫と庵野秀明の知られざる関係

岡田斗司夫

元ガイナックス社長で評論家の岡田斗司夫と、エヴァンゲリオンシリーズで知られる監督 庵野秀明が絶縁状態にあるとは、本当だろうか?

自身のYOUTUBEチャンネルで、エヴァシリーズの批評を行うなど、いつまでも庵野を利用していると言われる岡田斗司夫だが、最近の庵野秀明の発言を聞くと、やはりアマチュア時代に、わけがわからないまま一緒にやってきた同志としての想いがあるようにも思える。そんな2人の関係性についてまとめてみる。

二人の出会い

岡田斗司夫が大阪電気通信大学で、日本SF大会(DAICON3)の運営をしていた頃、庵野秀明は大阪芸術大学で、SF研究会に所属し、アニメづくりを自分たちなりに取り組んでいた。

岡田ら運営は、庵野というアマチュアなのに凄いアニメーターがいるという噂を聞きつけ、庵野たちをDAICON3のオープニングアニメーションの制作に誘うことを決める。

岡田は、当時の庵野秀明の異様な様子をこう語っている。

岡田:打ち合わせの最中に庵野秀明は、ダイエーの計算用紙の端っこに、複雑なロボットの絵をさーっと描き始め、あっという間に四、五枚描いたと思ったら、ぱらぱら見せると動いて見えたと言うんです。(岡田斗司夫『遺書』より)

学生時代の庵野秀明の有名なエピソードである。

さらにすごいのが、庵野が描いていたロボットというのは『宇宙の戦士』というSF小説に登場するパワードスーツだったという。

パワードスーツはその小説の挿絵に出てくる、かなり複雑な線で描かれたものだった。

岡田:そっくりに描くだけでも大変なのに、動かしてみせた。小説の挿絵でしか見たことがないパワードスーツをアニメにできるやつがいる!これは使うしかない!(岡田斗司夫『遺書』より)

そんな経緯で、庵野は、岡田らとともにDAICON3のオープニングアニメーションの制作を務めることになる。

「シン・エヴァ」スタッフが岡田斗司夫を名指しで批判!?

岡田斗司夫がエヴァの批評をYOUTUBEなど自身のメディアで繰り返すことに、シン・エヴァのスタッフが名指しで批判したというニュースがあった。内容はこんな感じだ。

2021年6月8日に『株式会社カラー』のYouTubeチャンネルで制作スタッフが『シン・エヴァ』情報に触れる配信が行われた。

制作スタッフは、視聴者に向けて、ネットに出回っているエヴァ解説を課金して視聴しないで欲しいと訴えた。

そして、岡田斗司夫を名指しでこう批判したのだ。

「岡田斗司夫さんでしたっけ?のゼミって一体何なんですかね?」

こんな放送があったらしいが、すぐに動画は削除された。当の庵野秀明本人が出演しているわけではない。外野がただ騒いでいるだけなのだろう。

元ガイナックスの社長だろうが、いつまでも俺たちのエヴァを利用するなと言いたげな放送だったようだ。

そんな外野の声もありながら、結局、庵野秀明は公の場で、学生時代に岡田斗司夫や他の仲間に出会ったことで、作品を創れるようになったと公の場で語っているので、この騒動は特に岡田斗司夫、庵野秀明、二人の関係性を表すものではないと断言できる。

庵野秀明が、岡田斗司夫ら当時の仲間について感謝する言葉

第27回東京国際映画祭の目玉企画として注目を集めた「庵野秀明の世界」でのトークショーにて、庵野が学生時代の作品を解説する中で、岡田斗司夫ら当時の仲間へ感謝の想いの言葉を語ったのが下記である。

DAICON3への参加について

庵野:じつは、僕はDAICONに関わるのは面倒くさそうだったので、やめようと思っていたんです。でも山賀が強引に『いや、これは絶対やるべきだ!』と言う(笑)。山賀に引きずられる形で参加しました。『パワードスーツ!装甲強化服』を描いてからなんとかなるかなと。それが、DAICON3のオープングアニメにつながりました」(ムービーウォーカーより)

岡田らと制作した「帰ってきたウルトラマン」について

DAICON4で、脚本:岡田斗司夫、総監督:庵野秀明、出演:庵野秀明で制作した「帰ってきたウルトラマン」。

これは、庵野自身が自らウルトラマンを演じたいという想いからつくられた作品。

庵野は、ウルトラマンのスーツを着ながら、顔は出したままという(笑)ギャグにならないように、ギリギリのラインを保つために、岡田らがSF設定をこらすことや、ウルトラマン登場までのリアリティのあるシーンの積み重ねをすることを緻密に進めたのだという。

庵野は、当時の岡田ら仲間への感謝の想いをこう語っている、

庵野「集大成というか、原点ですよね。何も変わってないですよ。『エヴァンゲリオン』とやってることは一緒です(笑)。『帰ってきたウルトラマン』の原案は岡田(斗司夫)さんなので、やっぱり岡田さんの知識が役に立ってます。今回、通して見て思ったのは、自分ひとりでは全然ダメだったんだなと。ひとりでやってるときと、友達や仲間ができて複数人でやりはじめてからは格段に違っています。僕は人と一緒にやった方が、いろいろな人と仕事をした方が、おもしろいものになるんだなと改めて実感しました」(ムービーウォーカーより)

庵野が岡田のエヴァ解説を迷惑と言った!?

2022年3月8日に配信された『シン・エヴァンゲリオン劇場版1周年生特番』で、ユーザーから寄せられた質問「そのひとが言うと、それが正解になってしまう非関係者なひと」のことをどう思っていますか?」という質問に対して、庵野ははっきりと「迷惑です」と返し、ジブリ公式アカウントまでもが、同意を示している。
この質問および庵野、ジブリの回答は岡田斗司夫のことを指しているのでは?と話題になった。
該当ツイートはこちら

岡田はこの一件に対して、自身のYoutubeチャンネルで質問が寄せられ、こう答えている。

自身のYoutubeチャンネルの影響力が強くなりすぎてる

岡田は自身のYoutubeチャンネルの登録者数が増えすぎて、その影響力に戸惑っていることを以前にも語っていたが、今回の件でも同様の見解を述べている。

岡田:正直ね、これ影響力が大きくなってきた証拠だと思うんですよね。本来10万人とか30万人に対する話なんですよね(笑)僕がやっているのは(笑)それを想定していたんですけども。徐々に予定外の50万人、想定外の70万人を超えて、現在78万人なんですよね。こういうことを語っていて、こんな人数もいて影響力も半端ならん。これは捨ておけんという感じになったんじゃないかなと。(2022年3月13日 「エヴァ、ジブリ公式アカの“迷惑、と思います”」 岡田斗司夫ゼミ)

「多様な解釈」が許されるはずが、「真相」ととらえられる時代

岡田:今は「解釈」っていうものが「真相」だ!!何とかの真相だ!とか、裏はっていう都市伝説系の話として流通するようになってしまったんで。これに関しては僕の方としては、こんなに人数増えちゃったからねっていう以外何もないですね。(2022年3月13日 「エヴァ、ジブリ公式アカの“迷惑、と思います”」 岡田斗司夫ゼミ)

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